下落合にあった伝説のシルクスクリーン工房、
【サイトウプロセス】
設立は1954年、今はもうない。
アンディ・ウォーホルがキャンベル缶を発表したのが、
1961年(あるいは62年)というから、
いかに先見の明があったか想像がつく。
粟津潔、宇野亜喜良、田中一光など、
当時の若手デザイナーたちが集まり、
シルクスクリーン印刷の研鑽の場になったそうだ。
サイトウプロセスで印刷された、
最も有名なシルクスクリーン作品は、
【腰巻お仙】-横尾忠則(1968年)のポスターだろうか。
貼るそばから盗まれていった、
という逸話もある。
サイトウプロセスは若者たちに、
シルクスクリーン印刷の場、を提供していた。
そんなサイトウプロセスの直系であり、
1982年に伊丹裕さんによって設立されたのが、
『360°GRAPHICS』だ。
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昨年、一樹君は伊丹裕さんに会いに行き、
Tシャツのプリントをお願いした。
普段はポスターしか作っていないので、
Tシャツへのプリントは難しいかなと思いつつ、
アポイントを取った。
打ち合わせの9割が護身術の話しだったそうで、
こりゃTシャツは無理かな、と諦めかけた時、
快諾をもらった。
そういうユーモアは、
作品に反映されるのだろう。
仕上がったTシャツを見て、
僕たちはうなった。
●360°GRAPHICS × GEEKS RULE
曲がっている。
明らかにセンターがズレている。
なるほど。
なるほど。
挑戦状か。
普段なら、機械プリントなら、
完全にアウトレットだ。
だがしかし、
今回は「どう」刷ったかではない。
「誰が」刷ったか、だ。
これが伊丹裕さんの個性だ。
シルクスクリーン印刷の楽しさを
改めて教えてもらいました。
とは言え、
全部が全部曲がっているわけではありません。
基本は真っ直ぐ刷ってもらっています。
もし、曲がった個体に出会ったら、
当たりだと思ってください。
プリントミスではありません。
ただ、はっきり言って、
シルクスクリーン印刷の技術は、
めちゃくちゃに高度です。
これが手刷りか?!
と思うほどの超高精細。
機械プリントでもつぶれそうな、
細かい文字がキリっと出ています。
アウトラインもめちゃくちゃキレイですね。
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今回はすべて伊丹裕さんの手刷りです。
なのでいつもに比べると数が少ないです。
申し訳ありません。
販売方法も限定的で、
明日9/23、葉山のSunshine+Cloudさんの
店頭のみとなっております。
オンラインでの販売はありません。
詳細はギークスルールのインスタでご確認ください。
https://www.instagram.com/geeksrule_/
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シルクスクリーンプリントの裾野は広い。
プロと素人を分ける必要はないのだ。
誰もがプロになり得るし、
しかし素人的な感覚を持ち続けなければ、
途端につまらないものになってしまうだろう。
と。
またシルクスクリーンが好きになりました。