日別アーカイブ: 2025/12/30

RIE SATO PARIS TEST

 

マジシャンが、
「タネも仕掛けもありません」と言う時、
それらが確実に「ある」事を示唆している。

あるからこそ、
予め最初に「ない」とハッタリをかますのだ。

真面目なマジシャンなら、
「タネと仕掛けはありますが教える事はできません」
と言うだろう。

どちらにしろトリックが分かってしまっては、
面白くない。

+++

インターネットで拾える情報、
GeminiやGPTの正解のように見える回答、
YouTubeが教えてくれる技術、
アプリが自動で行う加工、
プロンプトに頼った世界は、

タネと仕掛けに満ちている。

信じてはダメだ。

もし君が今、シルクスクリーンの
カラーセパレートに興味があるなら、
答えはインターネットの中にはない。

photoshopのプラグインの中にもない。

チャンネル分解の中にもない。

自分なりの方法で、
タネと仕掛けを作るしかない。

+++

さて、

タネも仕掛けもありません。

RIE SATO PARIS color separation test

2025年は、
白から始めないセパレートの実験に終始した。

ギークスルールでやっている分版とは、
構造が全く違う。

無論ギークスルールの方が何倍も精度が高い。
ただ15版刷りはやはりリスクも高い。

もう少し低リスクで、
カラープリントが出来たら面白いのに。

そのための実験。
ゆえに販売目的ではない。

合計6版。

濃色ボディの4色分解が白ベタ版をプラスして、
計5版である事と比べれば、
許容範囲だろう。

そして4色分解ではこの色は出せない。

おそらくこの方法は、
デイブ・ガードナーの手法に最も近いと思われる。

デイブ・ガードナーはこれを、
シミュレートプロセスと呼んでいたが、
実はスポットカラーだ。

もっと言えばスポットですらない。
版ごとに色を描いていた、と言った方が正確だ。

何を言っているのか、
少しでも分かったなら、
タネと仕掛けがもうすぐそこに見えている。

でも全てを教えてしまっては、
嘘になる。

なぜなら、ここはインターネットの世界だからだ。

というわけで、
販売目的ではありません。

申し訳ありませんがお問い合わせはご遠慮ください。

+

実験に協力して頂いたアゾット工場の皆さん、
今年もありがとうございました。

特に平野さんがいなければ、
実験をする事すら出来なかったでしょう。

もう少し精度をあげて、
いずれ何かの形でシルクスクリーン愛好家の元に
お届けできればと考えています。

では、よいお年をお迎えください。