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スターウォーズがなぜ、
エピソード4から作られたのか。
その理由は様々に語られているし、
実際の所はよく分からないけれど、
僕が好きな回答は、
”当時の技術ではルーカスのイメージした
エピソード1~3を映像化出来なかったから”
というものです。
確かにコルサントや
ジオノーシスの闘技場、
ムスタファーの溶岩を
1977年に映像化する事は困難だったでしょう。
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さて、RIE SATO PARISの旧3部作はまさにそれ。
僕にカラー分解する技術がなかったのです。
(ついでに資金もありませんでした)
ゆえにモノクロ一択。
というわけで、新作の前に
旧トリロジーから復習しておきましょう。
SWの例にならって、
呼び名は製作順とは異なります。
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●エピソード4 ”ウェッソンを着た女学生” (2010-11)
2010年の暮れ。
まだピタTがもてはやされていた頃です。
ビッグサイズのTシャツは全く売れない時代が
長らく続いていました。
でも光明が差し始めていたのも事実です。
だからその光の差す方へ。
【Lサイズしかないブランドを作ろう】
と思ったのがきっかけでした。
ゆえに旧トリロジーはLサイズしかありません。
それと、
ボディのサイズによって
プリントサイズも変わるべきだ、
という持論があって、
Lサイズで一番よく見えるプリントサイズを真剣に考えました。
それは今も変わっておらず、
だからXLしか作っていません。
髪型は川久保玲のようなおかっぱ。
真珠のネックレスと、
セントジェームスのウェッソン。
真っ赤な口紅とソバカス。
そこまではあっという間に決まりました。
さて、ブランド名は何にしようか。
ふと目に留まったのは、
【美智子ロンドン】
純和風な名前に、
外国の都市名を続けるカオス感。
これだ。これしかない。
エリザベス京都、
でも良かったけれど、
大学の友人の名前を拝借して、
RIE SATO PARISは2011年にスタートしました。
ちなみにこのファーストは、
中野君の手刷りです。
定価は10000円+Taxでした。
当時ファストファッション全盛期で、
だからあえて高額な値段設定にしましたが、。
総売り上げ枚数はご想像にお任せします。。
●エピソード5 ”着心地を殺すスカル” (2012)
それまでずっと、
DIYによるプリント表現を模索していましたが、
DIYの限界を感じていたのがこの時期です。
一番の問題は【ズレる事】。
ズレちゃダメなデザインが思いつくのに、
素朴な機材ではどうしてもうまくいきません。
ちょうどその頃アゾットさんと知り合いました。
デカ版、多色刷り、ステッチオーバー、
何でもできるプリント工場なんて、
アゾットさんしかなかったと思います。
(対個人に関しては特に)
42cm×53cm。
24インチの版でプリント出来る最大値。
ゴリゴリのラバーインクを5回。
同じ場所にズラさず重ねています。
しかも手刷りです。
結果プリント面はゴワゴワに硬く、
汗は生地を貫通せず、
最悪の着心地を演出してくれました。
ややコンセプトに寄り過ぎた感は否めませんが、
後にも先にもこんなに着心地の悪いTシャツは
見たことがありません。
Lサイズのみ。
10000円+Taxでした。
基本的にRSPのモチーフは女性なので、
このスカルも女性の骨という事にしておきましょう。
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●エピソード6 ”想い出はモノクローム” (2012)
RIE SATO PARIS、
旧トリロジー最大の金字塔。
(ってほど売れてないけど)
2色分解を駆使した、
モノクロフォトプリントです。
黒とグレーに分けた版を、
ズラさずにプリントする技術が求められます。
アゾット工場の手刷りです。
黒とグレーの色のバランス、
刷る時の圧力など、
(刷る人の体重や身長も関係するそうで)
非常に繊細なプリントです。
ちなみにインクは、
アメリカンラバーのデッドストックを使用しました。
モチーフはカートコベイン。
バンドTからパロディを作るという手法は
当時はまだ主流ではありませんでした。
原宿のGolley’sで追悼Tシャツ(7800円)を買い、
サイズを測って同寸で作った記憶があります。
そして、モデルはグリコちゃん。
髪型、赤い口紅、ソバカス。
最高にクールです。
この時ようやくアメリカっぽいプリントが出来て、
とても満足しました。
定価は10000+Tax。
持っている人はラッキーですね。
ロンTバージョンもありました。
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このグリコちゃんのフォトTをもって、
もうこれ以上は作れないだろうという結論に至り、
2012年、RIE SATO PARISは休眠する事に。
7年間、気持ちよく眠っていたある昼下がり、
ラジオから流れてきた旧い歌で、
目が覚めました。
想い出はモノクローム
色を点けてくれ
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特色分解、スポットカラーセパレーションを
本気でやってみたいと思ったのが、
2019年の初夏。
詳細はブログのアーカイブをご参照のほど。
フルカラープリントの魅力を伝えるべく、
7年の惰眠から目覚め作ったのがこちらです。
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●エピソード1 ”カラーガール” (2019)
今見ると、あ、ちょっとミスってるな、。
って所が多々あるんですが、
それはもう見なかった事にしよう。。
いつかリマスター版が出せるなら、
その時に考えます。
モデルは理絵さん。
しかしよくOKしてくれたな。。
合計7版。
この時は7版でも超多色扱いでしたが、
その後さらに版数勝負みたいな流れを
自分で作ってしまい、
結果自らを苦しめただけという。。
ただ、
転写でもCMYKでも、
インクジェットでもないフルカラーを、
黒ボディの上にプリント出来た事は、
大きな前進だったと思います。
定価は3000円+Tax。
ビンテージTの高騰に対するアンチテーゼとして、
定価を安く設定しましたが、
ダブルスコア以上の赤字でした。
旧タグが残っていたので、
ネームは2つ付いています。
●エピソード2 ”ビューティフル・ドリーマー” (2021)
エピソード1は、
はっきり言えばパイロット版のようなものでした。
もうちょっと良いのが作れそうだな、
という手ごたえはあったんですが、
それを実行に移したのは2年後という。。
ただ自分で言うのもあれですが、
エピソード2は完璧です。
モデルは歌手の平賀さち枝さん。
これまたよくOKしてくれたな。。
11版多色刷り。
版数勝負の限界か、と思われたけど、
その後ギークスルールでは
15版が標準になってしまって。。
10版超えるって本当は異常な事なんですけどね、。
定価は5500円+Tax。
4か所の卸先に下代(工場価格)で納品したので、
僕の利益は、。
言いたくありません。。
プリントネームは、
ヒカリトカゲのグラデーション入り。
(光と影)
ちなみに、
筆記体のロゴと説明文をミックスするという
神田(ホントは丸の内だったらしい)のOLテンプレートは、
スピンオフでも使用しています。
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さて、いよいよ新作、
エピソード3のご紹介を、
と思ったのですが、
文章が長くなってしまったので、
詳細はまた明日。
焦らしてしまい申し訳ありません、。
そういえば、
大瀧詠一さんもソロアルバムは6枚しかないんですね。
スターウォーズも1~6がルーカスだし。
やっぱり僕もこれで最後だな。