2023/8/16

 

全米で最も嫌われているブランド、
アバクロンビー・&・フィッチ。

ウィキペディアを見る限り、
人気があった頃(2000年前後)の企業姿勢は
全くもって許されるものではありません。

嫌われる理由が良く分かります。

アメリカン・カルチャーへの憧れを、
完全に打ち砕いてくれた、アバクロ。

逆に言えばアバクロのおかげで、
アメリカの呪縛から解放されました。

労働力を搾取し金儲けに走った
排他的資本主義の権化。

昨年公開されたネットフリックスのドキュメンタリー、
『ホワイト・ホット アバクロンビー&フィッチの盛衰』が
さらに拍車をかけ、
アバクロがメインカルチャーに這い上がる事は
当分なさそうです。

現在、最底辺を漂っています。
あるいはもっと下に潜るかもしれません。

ただ、と僕は思います。
だからこそ、とウォーレンバフェットも言うでしょう。

今が買いだ、と。

+++

08’s~ アバクロ Tシャツ ツイルパッチニューヨーク 表記(L)

若者が最も嫌うのは、
こういうTシャツだと思います。

オッサンくさい、
ダサい、
オマケにサイズが細い。

当時はカッコ良かったはずの過剰なビンテージ加工は、
廃墟の清里を連想させます。

でもよく見て下さい、この加工。

こんなの作れません。

この労働力に見合う正当な対価を支払ったなら、
定価は30000円を超えていたはずです。

 

08’s~ アバクロ REDFIELD JACKET オイルドコットン 表記(XL)

2008~2009年、
日本では銀座出店などでもてはやされていた時期ですが、
アメリカではすでに凋落の足音が忍び寄っていました。

ビッグシルエットが流行る前兆が現れ始めたのも、
この頃です。

アバクロの細長いサイズ感は
2年後には時代遅れになります。

こちらはそんな2008年~の白タグ。

品質タグには、
GINZA表記が入るようになります。

M-65を思わせる、
ミリタリー系のデザインがアバクロの十八番。

オイルドコットン、
トリムは牛革。

当時の定価は30000~40000円位だったでしょうか。

ファストファッションほど安くなく、
かと言って高級ブランドにはなり切れない、
中途半端な値段設定もまた、
市場を読み切れていなかった感があります。

ラルフローレンなら、
倍位の値段を付けた事でしょう。

表記XL。

表記サイズは全くあてになりません。
実寸は細めのL、袖丈のみXXLです。

ジッパーはタロン。
裏面の四角い凹みがドクロに見えるので、
通称・ドクロタロンと呼ばれています。

 

08’s~ アバクロ デニムパンツ REMSEN 実寸(32×30.5位)

もう一つ、
アバクロの人気が低迷した理由の1つが、
【偽物の多さ】です。

定番の
アディロンダックジャケットや、
センチネルジャケット、
ケンプシェルジャケット
は市場に出回っている8割~9割は偽物だと思います。

生産国工場からの横流し、
下請けの模倣、など、
魑魅魍魎が跋扈する百鬼夜行の様相を呈していました。

怪しい通販のアバクロのほとんどが
そういう所からの密輸品だったのでしょう。

見分けるポイントは多岐に渡りますが、
一番簡単な見分け方は品質タグの表記です。

【ン】が【ソ】になっていたら、
偽物です。

【ン】の右側の線が直線に近いのも偽物です。

しっかり【ン】が湾曲しているか確認して下さい。

ただこれは2008年以降、
日本での販売が決まってからの見分け方です。
それ以前の品質タグは英語表記のみなので。

ちなみにアバクロのデニムで
一番好きなディテールがここ。

トップボタン裏のレザー補強です。

リベットの裏までロゴ入り。

501の真似とか復刻ではなく、
完全にオリジナルのデニムを作ろうという気概を感じます。

経営者の的外れな理念はさておき、
そこで働いていたデザイナーのセンスは
さすが一時代を作っただけあり、
孤高であり、クールでした。

 

08’s~ アバクロ BOULDER BROOK オイルドコットン 表記(M)

2008年~、アバクロのオイルドジャケットです。

モデル名は【BOULDER BROOK】。

オイルドジャケットの名作だと思います。

これを超えるオイルドジャケットを
後の世のアパレルメーカーが果たして作れるのか。

これこそ労働力の搾取により実現した服、
だと思います。

つまり、
ピラミッドとか、万里の長城とか、
日光東照宮のような感じです。

良いか悪いはもちろん判断できますね。
悪いんです。
そんな事をしてはいけません。

だから、これからの世の中で、
これを作ろうとしたら、とても大変だと思います。

今、ピラミッドが作れないように。

さて、真剣にアバクロについて考察し、
説明を加えましたが、
それでもまだ売れないと思います。

残念ですが、しょうがない。

まだ時代がソッポを向いています。

というわけで、今日のオンラインストアは、
僕の趣味に他なりません。

一人でも理解してくれる人がいれば、
と思い砂漠に砂を撒いてみました。

 

よろしくお願いいたします。

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